子育てが一段落した、ミドル世代が暮らす住宅です。
東南角地という立地を生かし、明るく気持ち良い日の光を取り入れ、
ご家族それぞれが心地よい時間を過ごせるような空間づくりはもちろん、
レザークラフトの職人さんでもある奥さまの、手仕事での"ものづくり"への想いを融合した家です。

「日々、モノが生まれる工房、アトリエ」というコンセプトのもと、デザインされた特徴的な外観。
角度を合わせた片流れの屋根の連なりが建物に一体感を与えます。
角側の煙突が真っ直ぐに伸び、沿うように規則的割合で窓が配置されています。
縦に伸びる木壁の深いブラウンと、白壁との色合いが、
高級感を持たせつつ、優しい印象を与えます。
軒天の仕上げも美しい。

玄関へと続くアプローチは、ただ直線にするのではなく、
ゆるやかな曲線を描くことで、デザイン性と遊び心をプラスしています。
歩を進めて辿り着く、「アトリエ」をイメージした玄関下屋。
外壁は、赤いガルバリウム鋼板を採用しました。
母屋と異なる素材を使い、質感・色の違いにより外観にアクセントをつけています。

玄関からはリビングへと続く動線とは別に、
パントリーを兼ねた土間クローゼット〜アトリエ〜キッチンとつながります。
収納力の高いパントリーにより、家の中に余計な荷物を持ち込みません。

アトリエは、レザークラフト職人である奥さまの仕事場。
「家族がいても、お互いが気を遣わない環境を」とのご要望から、
リビング・ダイニングより、ひとつ離れた間取りに設置いたしました。
気兼ねなく、作業に集中できる空間です。

メインの居住空間である、日当たり抜群のリビング・ダイニング。
薪ストーブの炎の揺らめきは癒しを、そして家全体を暖めます。
壁のないリビング階段は空間をより広く見せ、1階と2階をゆるやかにつなげます。
一角にはスタディスペースもあり、ふとアイデアが湧いたときなど、
すぐに作業に取り掛かれます。

1階が回遊できる間取りになっており、
キッチン〜家事室〜浴室へとつながり、スムーズな家事動線を実現しています。
家事室には室内用物干しハンガーバーを設置。
アイロン掛けやたたむ作業をしやすくする、幅と奥行きのあるカウンターを設けました。

和室は他の空間のつながりから独立した位置にあり、
天井の仕上げ、井草の香り、内壁の色味など伝統を取り入れ、
洗練された落ち着きのある空間です。

2階、寝室にはウォークインクローゼットがあります。
奥行きがあり、広い収納スペースは日々の身支度にとても便利です。

寝室に隣接する、襖で仕切られた屋根裏部屋のような中3階スペース。
南東向きのため、とても日当たりよく、
多彩な使い方ができる、遊び心ある自由な空間です。

使用する素材、間取り、各部のディテールへのこだわり...
暮らす人の"ものづくり"への想いを昇華し、大工の手仕事が見事に結実した住宅が完成しました。