WISE SCAPE - ワイズスケープ / 福島の木造注文住宅、住宅設計

DIALOGUE028

流行と本質、豊かさ part4

話し手:代表取締役 渡邊

part4では、便利さや手軽さの裏で私たちが見落としていることについて、代表が語ります。

なんかさ、日本人はわがままというか何か拘る方向性、観点がおかしい方向にいっていないかな。食なんか特にそうじゃない?健康や美容には飛びつく、感度は異常に高い。花粉症、アレルギー、その他諸々悩んでいる人も多い。メディアでちょっと悪く取り上げられると鬼の首とったみたいに騒いで袋叩きにする。でもそのくせ農薬や添加物、油、砂糖、調味料など毎日、毎食口から入れるものには大して頓着しない。無農薬、無添加、有機は高いっていう。ちょっと虫が食べてるとダメ、虫が食べるぐらいが一番安全じゃないのって言うと、いやそれは違うとか...。ああ、話が違うか(苦笑)

今ね、一番よくないことなんじゃないかなと思うのは、衣食住全てどれをとっても、作ることの価値と言うか、どれだけ手間と時間がかかって作られているかというのがね、わからなくなっちゃってることじゃない、今。それはすごくよくないことだと思う。手軽に何でも手に入るのは決して悪いことではないでしょう、それを享受してるのはみんなで掴んだものでしょう。でも一方で大事なことを失ってるよね。

結局早く安く簡単に手に入るものやことにありがたみなんてなくなっちゃうよね。人がトコトコトコトコ作るから感謝の気持ちが出来るし、作る人も自分の手でつくるという実態、手触り感があるから責任感というか何かあったら嫌だっていう気持ちが芽生えるし、住む人だって愛着が湧くし、大事にしようって思いもより大きく湧いてくる。それをとにかく早く楽に簡単にってなったら、しかも工場からほとんど作られたものが運ばれて現場はただ組み立てるだけって、作る人に強い責任感やプライドなんて生まれにくい...。

要するに何もかも職人さんが、プロがいなくなってしまうということ。つくることへ対する敬意や愛情の感覚が薄れている。このままだと家は勿論、どの業界にもちゃんと作れる人がいなくなる。それは自分たちがそういうこと(作ること、人、時間)を無意識でも軽んじているし、軽んじてきたから。

この間たまたま行った道の駅で餅つきやっててさ、木の臼と杵でね。ちゃんと手でよいしょとか合いの手入れつつ餅をつく。それなりに時間かかるんだけどさ、大の大人が汗だくになってね、真冬なのに。それで出来たお餅、いただけたんだけどさ、もう全然違うもんね、美味しさが。調味料とか何もなくてお餅そのままなんだけどね。餅つきやってるの知らなくてたまたま通りかかっただけだから申し訳ないかなと思いつつもね、おかわりしちゃったもんね。美味しすぎて(笑)結局手がかかってるって、それはやっぱり美味しさもそうだし、そこでの時間もそうだし、思い出としてもそうだし、そういうたくさんのことを生むよね。

だからさ、便利で簡単にで大事なものをなくしてると思うよね。人が経験や感覚でしか養えないことを。貴重な技術や経験をもつ人たちがどんどんいなくなっちゃって、で悪循環だよね。一方で余計にファストフードファストファッションファストハウスとか簡単にできるようなのばっかりになる。手間ひかかけての価値や、その技術を持ってる人がいないから、余計にまた誰もできなくなって...。それが本当に豊かな社会なのかね...。

流行に振り回されず、自分たちの暮らしに合った豊かさを見つけること。
本当の豊かさは、便利さの中にあるのではなく、手間や時間をかけられる、それを価値として認識できる社会意識にあるのかもしれません。