
DIALOGUE021
プランについて・おまけ
話し手:代表取締役 渡邊
これまでのプランについてのインタビューの締めくくりとして、ブレイクタイムの回です。
語られるのは設計の本質や、住まいづくりにおけるプランの重要性について。建築の仕事はプランだけではない...。
それでも「基本プラン」が住宅の未来を左右する大きな出発点であることに変わりはありません。
真に「設計する」ということの深みを、改めて振り返ります。

建築だっていろんな役割があるので、要するに0から1っていうかね、プランとか。家の基本的な部分をしっかりちゃんと形にできるっていうのも1つの役割で、役割ってかそれも1つでしかないので、建築でそれができないからイコール建築の職業としてダメだってことではない。それはちょっと勘違いしないでほしい。ただ、そのプランっていうものに関して言えば、やはりここまで言ってきたようなことが大事だし、それをね、志す人はね、そういう思いを大事にしてほしいなって思うよね。特に住宅やる、やりたいって人はね。
あとやっぱり基本プランって全ての出発点になるから、それが本当にダメだと後の人がいくらね、職人さんとか大工さんがいくら優秀でもさ、結局その基本プランがベースになって次が進んでいくから、そういう意味でも基本プランを書く人っていうのは大事だよね。それが下手くそだとほんとにその後いくらね、腕のたつ人がやったってさ、それに基づいてやるわけだから修正だって限界があるし。当然住まい手、お施主さんだってそのプランがほんとにbestかって分からないからね。まして図面上じゃね。こちらがみえてる景色、空間はまず分からない。春夏秋冬、年単位の時間軸まで考えたらまず分からないと思うよ。以前もこんな話したけどね。

手練れ同士なら同じ敷地、同じ条件ならほぼ同じ形になって後はお施主さんの好み、みたいな感じだろうけど、下手なプランが、出来るかき手に代わったらまず間違いなく変わる。だから基本プランを「誰にかいてもらうか、もらえるか」は、そういう意味でも大事です。
でも一方で、ちゃんとデザインされて、説得力のある基本プランが決まるじゃないですか。そういうプランはやっぱり、さっき言ったように調和が取れていたり、1本筋が通った設計がされてるんだけど、さらに、緻密に計算され練り上げられている。それは最も難しいであろう余白のとり方や微妙な味付け、図面にあらわれない部分も含めて。だからその後のバトンを受け取った人たちの責任も大きいんだよね。ダメにしちゃうこともある。最初のベースが秀逸にできてるから、ちょっとした寸法取り、納め方や違いでちゃんと表現、実現されなくなっちゃうことがあるわけだよ。最初の思惑と変わっちゃう場合があって、だからそういう意味で最初ちゃんとしていればしているほど、ずっと最後までちゃんとしてないと本当の意味で最初の形、思いが具現化されないっていう。一連のバトンを受けた人がみんな思想や意図も含めて受け取ってやんなきゃなんないっていう難しさがあるよね。それが逆に最初のプランがダメ、イマイチだと、元々ダメだから改善していけば良くなるじゃない?まして手練れの人がバトンを受け取れば良くなる率の方が高い。下手くそな設計だな、ちょっとこう改良するかってできるけど、最初のプラン、デザインレベルに対して、その後尺度が合ってない、下手打ちがそのバトン受けるとどんどんおかしくなっていく...。
だから難しいと思います。何でも、どんな仕事でも、まして人に依存せざる得ない(外科医とか理容美容、職人さん...)職種はそうだと思うけど、手練れ、腕がたつとなればそりゃあ依頼も多いし、忙しい。当たり前だよね。ということは1人が1つにつきっきりで対応できるわけじゃない。うちの会社もそこが1番苦労するとこだよね。そのギャップはあるかもしれない。どうしても。だから本当の注文住宅、建物はバトンを受けた人たちが最終的に大工さんまで一定の技術的なものと、最初に言ったような価値基準や思想が一体となったチームじゃないと本当の意味で出来上がらない。結局そこに繋がっていく。

実はすごくレベル高いんですよ、我々がつくろうとしているWISE SCAPEの正真正銘の注文住宅というのは。うちの会社の中でもそこが簡単ではないというのはそういうとこからだよね、きっと。それがセットで揃ってる会社なんてそんなに多くない。そういうことですよ、実は。だからみんな企画とか、誰でも出来るようにするっていう方向にいくんだろうけどね。
ーそこが揃えば最強。
もうそれはね、うん。でも簡単じゃない。自分だけ、1人だけで解決できないことだから。これはもう無理なんじゃないかとか思っちゃう(苦笑)
ーやっぱ深いですよね。そう思うとやっぱり。ただ書けばいいでもない、つくればいいってとこじゃない...。
まあ本来は当たり前なことだと思うけど、思いや価値基準の部分をみんな共有してないと、その会社自体もダメだってことですよね。まして我々の仕事は何か買ってきてそれを売る、商品を売るってわけじゃないので。建築であり建設。建てて築く。建てて設える。きずく、しつらえる。その言葉通り。つくって、つくりきってなんぼだから。
基本プランは、ただの間取りではなく、住まいの思想や価値観の起点となるものです。
それをどうつくり、どうつないでいくか。建築に関わるすべての人の意識と連携が問われます。
本当にいい家づくりとは何か...私たちは今後も、その本質を問い続けていきたいと思います。
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022
プランについて・おまけ2
今回は、本題に入る前に少しだけ「プラン」にまつわる補足的なお話です。実際に家をつくる中で感じていること。そして、0からプランを練り上げる上で必要な力とそれがどれだけ貴重なものか...代表(渡邊)が問わず語りに話し始めます。
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021
プランについて・おまけ
これまでのプランについてのインタビューの締めくくりとして、ブレイクタイムの回です。語られるのは設計の本質や、住まいづくりにおけるプランの重要性について。建築の仕事はプランだけではない...。真に「設計する」ということの深みを、改めて振り返ります。
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020
プランについて part5.
家づくりで大切なのは、設計者を信頼し、自分の暮らし方や価値観をしっかり伝えること。ただし、細かな指示ではなく、「どう暮らしたいか」を共有することが本質です。part5では、敷地の特性を活かしたプランの考え方や、調和の取れた住まいづくりについて掘り下げて伺いました。
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019
プランについて part4.
家づくりにおいて、敷地の条件は決して無視できない重要な要素です。建物は単体で成り立つのではなく、周囲の環境と調和してこそ、本当に価値のあるものになります。今回は、街並みの美しさや住宅の本質について掘り下げながら、なぜ敷地を深く理解することが良い家づくりにつながるのかを語ります。
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018
プランについて part3.
前回のDIALOGUE 017では、建築に関して敷地の持つ条件を読み解くことが、設計の出発点であるという話をしました。今回はその続きとして、どのように敷地の特性を考慮していくかを掘り下げていきます。
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017
プランについて part2.
建築において、本当に大切なのは、敷地の特徴を読み解き、周囲の環境と調和するデザインを生み出すこと。(前回より)今回は、敷地を最大限に活かし、自然と調和する建築のあり方について掘り下げて伺いました。
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016
プランについて part1.
今回のインタビューでは、渡邊がプランのつくり方から始まり、良いプランとは?、WISE SCAPEが大切にしている基本的な考え方について伺いました。
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015
木材について part6.
「木材について part6.」では、自然乾燥や低温乾燥の木が持つ本来の特徴と、それを踏まえた建築の魅力について深掘りします。癖を見極め、動きを予測しながら家をつくる知恵や、木材に込められた文化と未来への代表の想いをお届けします。
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014
木材について part5.
木材についてのシリーズ第5弾として、乾燥低温の持つ木材本来の特性について、木の色や匂い、靭性といった魅力をどのように生かすか、高温乾燥との違いについて詳しく伺いました。
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013
木材について part4.
「木材について part4.」では、木材の選別に対する考え、特に低温乾燥機を使用して品質を保つ重要性や、材木屋さんのこと、個々の木材の「個性」を生かす思いを伺いました。
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012
木材について part3.
「木材について part3.」では、無垢材と集成材の違いや、木材の工業製品化による特徴の変化について代表に伺いました。
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011
木材について part2.
part2.では、国産材と外材の違いや価格変動、国産材不足の背景、木材資源の持続可能性や管理の重要性について代表が語ります。
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010
木材について part1.
今回は、木材についてです。材へのこだわりや、国産材を選ぶ理由、木の魅力、木への思いについて伺いました。
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009
大工について part4.
大工についてpart4、今回で最終回です。最終回では、社長の大工職への思いを伺いました。
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008
大工について part3.
大工さんに向いている人とはどんな方でしょうか?今回は、その適性や現代社会の中で求められる資質について伺います。
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007
大工について part2.
前回、大工という仕事に求められるスキルや、社長が考える理想の大工像についてお話を伺いました。part2では昔と今の大工さんの違いに焦点を当ててお話を伺います。
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006
大工について part1.
前回、社長から注文住宅をつくる上で、大工の腕や技術がいかに重要かというお話しがありましたが、今回はさらに踏み込んで、大工という職業についてお伺いしたいと思います。
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005
注文住宅で大切なこと
多くの方が関心を持っている注文住宅ですが、本質を理解しないまま進んでしまうことも少なくありません。今回は本来の注文住宅とは何なのか...お話しを伺いました。
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004
注文住宅が向いてる方、向かない方について
前回、社長のお話を伺って注文住宅への熱い思いを知ることが出来ました。今回は具体的にどのような方が注文住宅に向いているのか、また逆に向いていないのかを伺いたいと思います。
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003
注文住宅とは
前回はWISE SCAPEの10年間を振り返り、今後の展望についてお話を伺いました。今回は社長が考える「注文住宅」とは何か?、本当の意味での家づくりとは何かを語っていただきます。
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002
WISE SCAPEを立ち上げてからその後
前回はWISE SCAPE誕生までの経過について社長の想いとともにお伝えしました。第二回目はWISE SCAPE立ち上げからのその後を伺いました。
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001
WISE SCAPEが出来るまで
お客さまからよく、社長の思いをもっと外に発信すればよいのに..との声が多々あり、それなら聞いてみようとこの企画が誕生しました。記念すべき第一回目はWISE SCAPEの誕生するまでを伺いたいと思います。