
DIALOGUE005
注文住宅で大切なこと
話し手:代表取締役 渡邊
多くの方が関心を持っている注文住宅ですが、本質を理解しないまま進んでしまうことも少なくありません。
今回は本来の注文住宅とは何なのか...お話しを伺いました。

ー現在は注文住宅を売りにしている会社さん沢山ありますけど...
そうですね、沢山ありますよね。ただ最近目立つのは、「注文住宅です」って言いながら実はプラン集があって、少しアレンジします、変更できます。ってことで注文住宅だと売りにしている。 それはそれでいいんでしょうけど、それは本来の注文住宅とは別物ですから。そう思いますよ。
ー注文住宅の発注の仕方にポイントはありますか?
え~と...注文住宅で良くない発注の仕方だと思うのは、繰り返しになりますが箸の上げ下ろしの様な細かいことまで言うこと。 1から10まで言いたいなら、ある意味自分でやった方がいいよね。又は自分の言うとおりにだけやってくれる人や会社を探す。または大工さんと直接契約して自分で何もかも指示を出す。本来の意味でのデザイナーは必要ないかな。 前回と被るけど、一人前のデザイナーの力を最大限発揮させるには任せてくれる方じゃないと難しい。まあデザイナーがどういう定義かはありますけどね...。
ある意味真実なので話すけど、本当に良い住宅になる時は大事な事だけはちゃんと伝えて後は任せます、なんだよね。
中途半端なのがプラン集から選んで、いじること。型から選ぶなら間取りは変えない方が良いでしょうね。プラン集から選んでいじると大体単価も上がるし、構造もぐちゃぐちゃになるしプロポーションも崩れるし、ろくなことが無い(笑) だからやれるのは中身や素材の仕様を変える事位かな。長い目で見たら仕様を上げた方が後々は良いと思いますよ。
やっぱり注文住宅でやるんだったらゼロからプランしてもらった方が良い。その時はあまり余計なことは言わない方がいい(笑)。そういう発注の仕方がいいと思いますよ。こういう可能性はあるんですか?とか確認するのは良いですけどね...

ー私たちからみたら図面上ちょっとくらいいじることは可能かと思ってしまいますけど...
んー、図面だけでは簡単に見えてしまうかも知れないですね。 ちょっとした間取りの変更って皆さん簡単に言いますけど...。本当にいいプランは緻密に計算されているので少しいじることで成り立たなくなることもあります。ほんとにちょっといじるだけで駄目になる事もあるんですよ。よく出来た図面ほど駄目になってしまうんです。
だから、最近は注文住宅を売りにしている会社さんもたくさん出来てますけど、正直言って本当の注文住宅はそんな簡単に出来るものじゃないと思いますよ。そもそも作り手が本当に減っているから...。注文住宅はやっぱり「どうつくるか」そこが本当の肝、大変なので「つくる」という部分と一体になって初めて注文住宅は出来るから、つくる部分が弱いと注文住宅なんて受けられないと思うけどな。まして今は作り手もそうだし、デザイナーも大工さんにも、悲しいかな嫌がられることも少なくないから。面倒な仕事って...。特に常日頃そういう仕事、現場に入っていない方は簡単には出来ない。
何でも工場からくる時代なので、それを組み立てるだけっていう現場になっているので、どこもかしこも...早く仕上げるのが優先になってて。分譲住宅の類はいかに早くつくるかしか考えてないですから。
ただ、誤解を恐れずに言えば、注文住宅が造っていて楽しいものかと言われるとちょっと違うかなと思いますよ。完成するまで喜びなんてちょっとですよ。ただ時々、本当に良いお客さまと巡り会って...。そこが注文住宅にしかない醍醐味だと思うんですけどね。

ー自社がデザインした、施工した家を見てどう思いますか?
よく自分たちが作った家だ~とか思わないんですか?とかお客さまにも言われますけど...、あー無事に建ってるな~そっちが先ですかね。
逆に、今は分譲住宅がたくさん販売されてますけど、勿体ないな~と思ってしまいますよ。家はね、ものじゃないんですぐに売却してってことも出来ないですし。まあご主人に先立たれたとかあれば、残された家族が住む家があるのは良いと思いますけどね...
ー社長の想ういい家とは?
洗礼されたデザインとか、素材がいいとか間取りが優秀じゃなければいい家ではない、という事でもないと思うんですよ。普通の会社さん(敢えて普通のと言いますが...)がつくった家でも、つくってる人が一生懸命つくったのを感じられる家は絶対良い家。つくった大工さんとかが、ほんと一生懸命つくったな~木を活かして使ってるな~、思いを感じられるなーとか、それは完成した家にあらわれますから。絶対に。
流行のデザインとか高い性能値とかではなく、住んでる人が満足してくれている、心から自分の家が好きだと感じていることが一番だと思いますよ。デザインや性能も一定必要だとは思いますが、それよりも大切なことがあると思いますね。自分たちは「デザイン」とか銘打ってるくせにですけど(笑)

ー社長は注文住宅で建てたいですか?
私も注文と企画どっちがいいか?と言われると...ん~どうだろう... ちゃんと建ててくれる人がいればそりゃあ注文がいいと思います。だから職人さんもみたい。ちゃんとつくってくれる人なのか。設計する人、施工する人、関わる人...。確認すると思います。
ー社長は職人さんを見るという事ですけど... WISE SCAPEは自社大工でやっていて、やっぱりいいと思いますか?
そうですね~、一番大事なのはやっぱり価値基準、向いてる方向が一緒なことだと思います。業務委託や請負でも良いんですけどね、つくり手の価値基準が合ってることが大前提だと思います。そこは積み重ねも大切なんで、そうなると社員とか外部の方でも長く一緒にやっているとか...。
やっていくうちに価値基準があっていくこともあるけれども、前向きにチャレンジして前向きにやってくれる人じゃないと難しいですよね。再三言っていますが兎に角作り手が少なくなって難しいところもありますが...
今は大工さんだけじゃなく左官屋さん、建具屋さんも貴重です。新しい人が入っても続かない。そもそも所謂「1人親方」みたいな方が多い業界だから組織的にやってる人がいないんです。まして今は様々なことが雇用主側に求められるからある一定の規模にならないと若い人を育てられない。そもそも雇用できないし、応募もない。
ただ、一方で本当の意味での職人さんは今後、ますます希少性が上がって、市場性が高い(市場から求められる)職業になってくるんじゃ無いかと思いますよ。すごいお金払ってでも来てください、お願いします。って時代が来るかも?と思いますね。
注文住宅をつくるには、プランも大切ですが、それを形にする信頼できる作り手(職人)が必要不可欠です。
作り手の腕や経験が完成した家に反映されるからこその注文住宅なのですね...。
次回もお楽しみに。
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注文住宅で大切なこと
多くの方が関心を持っている注文住宅ですが、本質を理解しないまま進んでしまうことも少なくありません。今回は本来の注文住宅とは何なのか...お話しを伺いました。
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