WISE SCAPE - ワイズスケープ / 福島の木造注文住宅、住宅設計

DIALOGUE013

木材について part4.

話し手:代表取締役 渡邊

「木材について part4.」では、木材の選別に対する考え、特に低温乾燥機を使用して品質を保つ重要性や、
材木屋さんのこと、個々の木材の「個性」を生かす思いを伺いました。

木材を見ただけで違いは分かるんですか?

見れば分かりますよ。匂いは勿論、色艶、手触りが違います。だから一時期材木屋さんから低温乾燥機が無くなった時はすんごい苦労したというか...。

それでも、木材そのものはこれまでと同様の産地で育ってきた、管理されてきた山からだし、長い付き合いでお互いを理解している材木屋さんから入れてもらうので、木材自体がすごく悪い訳ではないけど。そうね...、まあちょっと受け入れがたいというか、私の感覚からしたらなんだろう、もうなんか嫌だな~何なんだろうなあ...、という感覚でした。

そこはね、まあ自分の会社ではないし、相手の経営判断ですからなんとも仕方ないんですけど...。でも何とかうちの為に新しい乾燥機を入れてくれたような感じかな。乾燥機って、低温乾燥機ですよ。人の体温位でちょっと熱い40℃くらいで乾燥させる。人が入っても大丈夫。ちょっと温度が低いサウナみたいな感じで。ちょっとミストが出てきて。自然乾燥は自然乾燥で温度とかコントロールが難しいので、時間がかかるんですよ。数か月はかかる。時間がかかるからすぐに出荷出来ないし、経営的には大変だとは思いますよ。大体他の会社さんはそこまで求めてないからね。こんな考え持っている人はそう多くはないよ。

だからそういう意味でもうちは恵まれて...。材木屋さんに支えていただいてます。

ただね...、否定するつもりはないんですよ。偉そうなこと言ってるけどうちだってそれらを全く使わないってわけじゃないんで...。求める品質や満たす基準、建物の用途、勿論ご予算...。要は乾燥方法含め全てひっくるめて何処にどのような木材を使うか、生かすも殺すも使い手次第だし、適材適所、ということです。

私の本心としては結構...、ん~経営とか、ビジネスという感覚ではないですよね。そこはもう個人的な感情だと思います。木に対する想い。木材に対する想い。

ちょっと余談だけど、私が一番好きな仕事は、木の選別とかだと思う(笑)

山の中に入って、この木をこう使おうとか、ここを伐ってみてほしいとか...。実際に山で伐採して、製材工場に入ってきて、見て、どういう風に使おう、料理したらいいかとか?前段階、木を並べてある程度製材された木を見て、この子どこに使ってみようかな?とか。それがすごく好き(笑)マニアックですよね(笑)

この木はここ、この木はここでしょう!みたいなことですか?

そうそうそう。どこにどう割り当てたいとか選別するみたいなこと。こういう構造の躯体なんですけど、木を選んできてください、とか言われたら、やって良いの?良いのね?ってほんとにわくわく、嬉しくなっちゃうな。今も一定は選別や指定したりするけど、社長に全部やらせるような仕組みや構造つくってくれたらすごく嬉しいな~。

何年後かに私たち「社長が選んだ構造材です」みたいなアテンドしてるかも知れない(笑)どこ産の何の木ですみたいな(笑)

山に行くとね、呼んでる木がいるんだよ。木が凄い並んでる中でも「うわーすごいなースーパースターだ!」みたいな、輝きが違う木が。ほんとのスーパースターがいるんですよ。一本だけ輝いている。俺を呼んでるわ~みたいな(笑)もう傍からみたらエクセントリックな世界ですよね。何言ってんだろうなこの人は...ってなりますよね。私が特段目利きな訳ではないと思うけどね。多分勝手に養われた。ずっとそういう考え、見方でやってきたから。

時々、会社の敷地内うろうろするときあるんですよ。ここにこんな木材があるんだとか実はしっかり見ている(笑)「ちゃんと見た?」「あると思うんだけどな~ちょっと来てみて。ほら、あるんじゃん」みたいな。私はそれが一番楽しい。

今まで建てさせていただいて一番楽しかったのは小〇さん家、やった時ですね。その躯体を考えたとき。今でもはっきり覚えてる。自分ち(お客さまの)の山の木を伐採してきて使ったんですよ70本くらい。それを製材所に持っていって製材したんだけど。普通に流通する木って山の中で運搬しやすいように4メートルとかに伐っちゃうんですよ。「曲がってんのは規程以下だから伐っちゃいますよ」とか言われんだけど、それじゃ木の良さなんて出ないから、そのままにしてくださいって言って。長いままは運べないから一定は伐るしかないんですけど、5.4m、3.7m、4.6mとか中途半端でもお願いして伐ってもらいました。それを製材の人に工場の土間にバーッと並べてもらって。ほんとに色んな形、色んな長さでね。なんか古民家とかの梁、曲がってるのあるじゃないですか。そんな感じで曲がってたりするのもあったり。並べた木を見てどこにどう使うか。それを考える。

間取りは決まっていたので、構造的に必要な長さ、太さ、化粧で見せる木、それぞれありますよね。それを当てはめるのが楽しくて、楽しくてしょうがなかった。(笑)あんなに興奮することはなかったよね(笑)

そんなことがあったんですね?

実はね。あったんだよね。

「社長はもう木でもみててください」そんな事言われる時が来たら嬉しいよね(笑)ほんとにもう嬉しくなっちゃう。社長は木の選別や管理、出し方。それだけやってもらえればOK。後は任せて安心。そんな役割ならもう言うことないよね。ただ、木の使い方の要求は今よりももっと厳しくなると思うけどね(笑)

木材について part5.へ続きます