WISE SCAPE - ワイズスケープ / 福島の木造注文住宅、住宅設計

INTERVIEW

010.育み合う家

今回は、福島市の住宅街に建つ2020年完成のOさま邸です。片流れのおおらかな屋根が特徴的なOさま邸は、住宅密集地のため2階にLDKを設け、視線を気にせず、心地よく過ごせる設計としています。《家族の歴史》を大切にするOさまの家づくりについてお伺いしました。

信頼できる人に家を作ってもらいたいという思い

当時、家づくりについてご主人がまとめていたノートを見ながら、インタビューに答えて下さいました。Oさまはご主人のご実家を受け継ぎ、建て替えで建築されたお客様です。「ここの土地にこれからもずっと住んでいきたいという気持ちがありました。なので、次の世代にも受け継げる家にしたいなと思っていました。」と話すご主人。弊社の事は新聞の折り込みチラシから知って頂きました。ギャラリーを見た感想を伺うと、「入った瞬間の空気感とか、ああ素敵だなと直感的に思いました。木の香りとか、緑との調和とか、中庭に流れる小川の感じとか。憧れに感じたことを今でも覚えています。」と話してくださいました。

そこからすぐに弊社との家づくりが始まったわけではなく、他の住宅メーカーと悩みながら、最終的に弊社で建てることを決められました。その決め手は「ヤマニさんのほうが自分たちの想いを形にしてくれそうだなと感じたことが一番の理由ですね。せっかく家を建てるんだったら、信頼できる人に作ってもらいたいという気持ちがありました。誰が一番信頼出来るかって考えたら渡邊社長だったんだと思います。」と話します。また、他のオーナー様邸見学会に参加した時、家づくりに対する感覚がオーナー様と自分たちとで似ていたことや、オーナー様自身のご自宅に対する満足度の高さを感じ「間違いない」と確信を得たそうです。

それに加えて、ご両親の納得も大きかったといいます。渡邊(社長)の提案でご両親も一緒に弊社の建てた家を見学した際「大工の経験がある父が和室の造りを見て感心していました。伝統的な造り方ができているというか、そういう力があるなと呟いたのは印象的でした。」と話すご主人。ご両親の納得も加わり、弊社との家づくりが始まりました。

家族の歴史を家に取り入れたい

ご実家の名残を少しでも感じたいと考えていたご主人。「自分が育ってきた過去の部分と、今実際に生活している所と、将来的に子どもたちがこの家を継いでくれるとなった時に、我が家の歴史みたいなものを家に取り入れたかった思いがありました」と話します。そしてご実家で使われていた床柱を和室に再利用しました。「実際に仕上がりを見てすごく感動しました。その床柱を見ると昔の実家での生活が一気に蘇ってくるようで。新しい家になっても前の家に対する敬意を示せるような気がします。」と嬉しそうに話すご主人が印象的でした。

そんなOさまが譲れなかったポイントが、家族との繋がりを大切にしたLDKでした。キッチンからリビングやスキップフロアを利用した子ども室を見渡せる造りになっています。 「料理している人とテレビを見ている人とが向かい合うような形を作りたい」という思いを持っていたOさま。「常にキッチンに立つ人が家全体を見渡せるのが良い立ち位置だと思っています。子ども部屋まで見渡せるので、将来子ども部屋に子供たちがいたとしても、直接でなくても気配でお互いの存在を感じられることが大事かなと思いますね。LDKから音とか光が漏れるのは、子どもにとっても安心感があると思います。」といいます。

最後までLDKの配置には悩んだといいます。実際に生活してみて、「キッチンで作業している私と、畳スペースで遊んでいる子どもたちで、互いに顔を見ながら過ごせるので、すごく安心感があります」と奥様が話してくださいました。

120点の満足感に繋がる家

打ち合わせ中のエピソードで印象的だったことをお伺いすると、渡邊(社長)からのある言葉を今でも覚えているそうです。「家づくりについて話したときに、注文住宅で80点は失格。100点で当たり前。120点を目指さないとだめだと思っているんだ、と言っていて、妥協しない姿勢がすごく社長らしいなと思いました」というご主人。弊社とは、良いものを長く使うという価値観が合っていると常々感じていたそう。

その上で、「ヤマニさんには100点の家を作ってもらえればと思って。そこから120点にしていくのは、多分住み手の役割だと考えるようになりました。自分たちの生活に、この家が染まっていって、生活に合わせて自分たちで工夫したり、変えたりしながら、そしてなにより我が家の歴史が刻み込まれていきながら、120点だよねっていう満足感に繋がると、すごく良いと思いますね。」と話して頂きました。Oさまの家への愛着や今後も長く大切に暮らしていくという思いを感じ、非常に嬉しい言葉でした。

最後に、これから家づくりを考える方に向けて、「その家で自分たちがどういう風に人生を歩んでいくか、という大きい捉え方をしてみるといいのかなって思います。何LDKで、という決まりきった表現ではなく、家族とどう過ごしたいかっていう思いの方が大切。限りある条件のなかで理想ばかりは言えないと思いますが、そう考えてみるとその人らしさが出るいい家になるのではないかなと感じます。」と話すご主人。家を建てることが目的ではなく、どんな過ごし方がしたいのか、どんなことを叶えたいのか、家で過ごす時間や家族との繋がりなどは、決して表面的な数字だけでは計れません。最後に話して頂いたこの言葉はまさに、私たちが目指す家づくりです。これからを育み合う家は、今後もOさまの«家族の歴史»を紡いでいく場所となるでしょう。

ポーチを異なるタイルで仕上げた玄関。
屋根が大きく、雨に濡れることなく、
傘をさしたりしまったり、
自転車を置くことも可能。
夕暮れ時の光が当たり、家の雰囲気が穏やかに
優しい外観となるところがお気に入り、と奥様。
玄関から続くクローク。
コートをかけたり、
ベビーカーなども置ける広さがあります。
今はご実家で使用していた茶箪笥を置いて、
靴や本、お子様のおもちゃを収納しているそう。
窓から光の入る明るい洗面脱衣室。
鏡がスライド式で、中に小物を収納できます。
右手はクロークへと繋がります。
1階の主寝室。
裏導線でお風呂、洗面脱衣室、クロークと直線に繋がり、
朝の身支度や洗濯の家事導線がスムーズに行えます。
床を一段下げた造作のキッチン。
対面には畳スペースを設け、お子様の様子を伺ったり、
家族と話したりしながら料理が可能。
ミーレの食洗機も完備しています。
階段を上った踊り場の壁に設けた本棚。
将来はホールに椅子を置いて、
ゆっくりと本を読むのを楽しみにしていると話すご主人。
上段は文庫本のサイズに合わせて作られ、
好きな小説や家づくりに関する本が収納されています。
中2階の子ども室。
LDKの対面にあることで、
家族との繋がりを保てます。
将来は二つに区切ることが可能。