INTERVIEW
003.桜の木がつなぐ家
Nさまは国見町にご家族4人で暮らしています。切妻屋根のやさしい佇まいの外観に、豊かな庭の植栽が映えます。庭に立つ大きな桜の記念樹が、NさまとWISE SCAPEをつないでくれた立役者です。今回はそんな桜の木が紡いだストーリーをご紹介します。
「桜の木を残してください」の言葉が決め手。
Nさまご夫婦は結婚後、桑折町のアパートにお住まいでした。2人の男の子が大きくなって来た2012年頃、マイホームの計画を立て始めました。ご夫婦は当初から無垢材や自然素材を使った木の家に憧れを持っており、自然素材の家として知られていた2つの工務店の見学に行きました。そのうち1社は、何となく家づくりに対する価値観が合わないと感じ、断りを入れました。
そんな折、Nさまが住宅雑誌でWISE SCAPEのことを知り、資料請求の連絡をしたのは12月末、弊社が仕事納めの日でした。その時、電話に出た渡邊(現社長)に資料請求を依頼しました。「もし、電話をする日が1日遅くなり、年末年始の休業に入っていたら、その後連絡することはなかったかもしれないですよね」 と、Nさまは当時を振り返ります。偶然のようで、運命とも言える出会いだったのかも知れません。
そして、年明けに二本松にて開催された新築完成見学会に行きます。ロケーションが素晴らしく、造作のお風呂やサッシ、インナーガレージなど、その大きさと豪華さにとても驚いたそうです。
その後、弊社ともう1社で悩んでいたころ、Nさまは桜の木も含めて、全て伐採し更地にしようと思っていました。しかし、敷地を見に来た渡邊から「桜の木は残してください」と言われます。
さらに、「他社に建築を依頼することになった場合でも、責任を持って伐採を行います」という言葉も。家づくりや木に対する真剣な姿勢が表れたこの言葉が決め手になりました。
※渡邊談:「とても立派な桜の木で...。それを家を建てるためとはいえ、ただ伐ってしまのは申し訳ないし、可哀そうで...。桜はなかなか移植できないし、何とかそのままにして家を建てられないかと...。確かに伐採した方が計画は楽ですが、それでは我々がいる意味はないですよね。その他伐らせて頂いたものも多いのですが、紅梅や枝垂れ桜等は移植させてもらいました。」
Nさまは「桜の木は、私の大学進学時に父が苗木を植えてくれたものだったので、残すことになり、両親も喜んでくれました」と語ってくれました。
2013年2月に打合せをし、3月にプランを見た後に、見積もりを依頼していた他の会社にはすぐに断りを入れ、弊社にご依頼をいただきました。
子どもたちが家の中で遊べる家を。
そして着々と打合せが進み、2013年7月に地鎮祭が行われ、9月に上棟しました。この間、橋の建設や基礎工事を行いました。
実は、Nさまの家の前には用水路が流れており、トラックなどの大きい車両が通れるように、新しい橋を建設する必要がありました。
この橋を、当時入社2年目の皆川が担当しました。「橋なんて設計したことがなかったから手さぐり状態でとても大変だった...」と皆川は当時を振り返ります。
Nさまが家づくりをするにあたって大きなテーマだったのが、"お子さんが家の中で遊んでも楽しめる家"でした。2011年の震災のこともあり、お子さまを外で遊ばせる事に不安があったからです。
リビングの床はフラットにして、お子さんがのびのびと動き回れるようにしました。リビング・ダイニングの高天井の上は小上りの書斎になっており、そこからさらにロフトにつながるという趣向が凝らされたつくりのため、お子さんはアスレチックのように遊ぶことができます。
リビングの真ん中にある薪ストーブは例年10月から大活躍で、真冬でも薪ストーブ1台で家中が暖まるとのこと。寒い時期にはお子さん達が薪ストーブの前にごろんと寝転がり、家族みんなが集まる団らんの場になっています。暖をとるだけでなく、前の日からおでんを煮込んだり、焼き芋を作ったりして、薪ストーブライフを楽しんでいるそうです。
「アパート住まいのときは、休みになると出かけていました。今はお昼ごはんをウッドデッキで食べたり、家の中で楽しめる時間が増えました」と奥さま。「休みの日には薪割りしたり、庭木に水をやったり。やらなくてはいけないことがたくさんあって、それがまた楽しいんですよね」とご主人が続きます。
Nさまご夫婦は、「今年の夏はバーベキューしたい」「こどもが成長したら一緒に薪割りがしたい」と、この家での夢を膨らませていました。
偶然にも残される事になった庭の桜の木。これからもNさま邸を包み込み、ご家族を優しく見守ってくれることでしょう。